2018.11.10
イタリア野菜の中でも最高級に位置づけられる野菜、タルディーボ。
畑で3ヶ月~4ヶ月栽培した後、根ごと引き抜いて水耕栽培に切り替えます。
この水耕栽培に切り替える時、軟白処理といって日光が当たらないよう完全に遮光します。
この状態で更に3週間~1ヶ月ほど栽培し、最終的には芯の部分だけにして出荷するという、とても手間ヒマかかる野菜です。
イタリア、ヴェネト州ではこのタルディーボを水耕栽培する時の水を「金の水」と呼びます。
この水があるから最高のタルディーボが育つのだと。
という事で私たちも水にこだわります。
幸い、私たちの畑は安曇野の山際にあり、山からの湧き水が流れています。
このタルディーボの栽培にあたってのこだわりについて。
第一に、このタルディーボを種から育てるのにずっと与えてきた湧き水を使って仕上げること。
植物は環境の変化などのストレスで味に変化が起きます。
ただでさえ、畑から引き抜いて水耕栽培に切り替えるのでストレスは相当なものです。
だから少しでもストレスを軽減し、苦みなどが強まって本来持つ味が損なわれないように、慣れ親しんだ水を使います。
第二に、カキ殻を使います。
植物の生育に必要な微量要素、カルシウムやミネラルを供給し、更に低温加熱処理する事で臭いを消すと同時に水のろ過材としても機能させます。
カキ殻の持つカルシウムは、数あるカルシウム成分の中でも炭酸カルシウムという、植物の根が吸収しやすいカルシウム成分です。
またミネラルは80種類も含まれると言われます。
作業記録として
2018年10月23日
水耕栽培を実行するためのプールを掘り、土手が崩れないように防水シートを設置しました。
2018年11月3日
「海と地酒 まつもと港」の中島店長に、前にお願いしてあったカキ殻をいただきにいきました。
丁寧に他のゴミは全部よけて、カキ殻だけでまとめてくれてありました。
心使いに感謝です。
2018年11月4日
いただいたカキ殻を川でよく洗い、モミ殻と混ぜて燻します。
カキの殻は高温で加熱するとバラバラに砕けてしまうため、直火に当たらないようモミ殻と混ぜてゆっくりゆっくり加熱します。
時々かき混ぜたり、温度が上がりすぎないように水をかけたりして12時間ほど加熱処理します。
2018年11月5日
仕上がったカキ殻の状態。
この日は松本のマンマ・ミーア!から八巻シェフが手伝いに来てくれ、二人でタルディーボを畑から引き抜きました。
引き抜いたタルディーボをコンテナにきれいに並べて、いざ水耕栽培へ。
プールの底に敷いたカキ殻で高さ調整します。
水が深すぎると葉元まで浸かってしまい、株元に細かいゴミなどが入ったり葉へのダメージが大きくなるため、ギリギリ根本だけ浸かるように高さ調整しました。
最後に防草シートで遮光します。
ここまででひと段落。
しばらくは経過観察です。
それにしても植えてあるタルディーボの数からして、水耕栽培に使う施設がぜんぜん足りません。
何か手を考えないと。