2018.11.09

グッドアグリアワード2018 最優秀賞受賞しました。

GOOD AGRI AWARD2018 ソーシャル部門にて、最優秀賞をいただく事ができました。
これも多くの協力者や、私たちの野菜を必要としてくれているお店様のおかげです。
心よりお礼申し上げます。

レストラン専門の野菜を栽培していると話すと、同じ農業者からは「そんなもの売れるのか?」と鼻で笑われたり、農業をやっていない人からすると華々しく映るようです。
私たちの農業は、話すだけでは中々等身大で評価してもらえない事が多いと感じています。

私たちは、いわゆる「若手農業者集団」とは程遠いメンバー構成ですし、大きな機械を色々持っているわけでもありません。
メンバーの大半が80代前後で、ひとつひとつの作業を手作業で実直に行っています。
一斉に種を蒔き、収穫し、一気に箱詰め出荷して畑を片付けるのが農業のスタンダードであり、効率化に繋がりますが、私たちはまるっきり逆の事をします。

お取引先レストランに、少しでも長く供給できるように敢えて種まき時期を少しずつずらし、5~10回にわけて種蒔きします。
一気に終わらないので1列出荷が終わったら小さな耕運機で耕すを繰り返すため、作目の切り替えもとても効率が悪いです。
それでも予想した通りに注文が入らず大きく育ちすぎて出荷できなかったり、逆に思いのほか人気で栽培が追い付かなかったり。
とにかく非効率でロスも多いやり方を選んで農業を行っています。

理由はふたつ。

ひとつめは飲食業をもっと盛り上げたいから。
私自身、長年の夢であったレストランのオーナーシェフという立場に身を置き、お店を切り盛りしていた時期がありました。
その時に常々感じていたのは、ちょっとでも珍しい野菜は、この長野にいても手に入れるのが困難だということ。

ここ最近では「中食」という単語が生まれ、惣菜など買って帰って自宅で食べるような事業がシェアを伸ばしていると聞きます。
私は子供の頃、レストランで食事をするのが大好きでした。
まるでディズニーランドへ行った時のようなわくわくドキドキがあり、その時はまだ子供だった自分に対してもお店の人の対応がとても嬉しく感じました。

レストランは特別な空間です。
特別な空間では、特別な野菜を使ってほしいと思うのです。
美しく盛り付けられた料理を囲み、大切な人と過ごすレストランでのひと時をもっと満たされたものにするため、惣菜では生み出せない、大切な人やお店のスタッフとのコミュニケーションは人を元気にします。

ふたつめは生産者はまだまだ頑張れるから。
私たちの仲間には農業歴50年を超える大ベテランが何人もいます。
こういった人たちは、以前はたくさん野菜を作って農協に大量出荷していましたが、体力の衰えから最近は自家消費する分だけと言って少量の野菜しか作っていませんでした。

少量とは言っても、畑はそれなりの広さなので到底自宅で食べられる量ではなく、隣近所に配るために育てているようなものです。
こういった背景の中、最初に私たちが「一緒に西洋野菜を栽培しましょう」と話しても「やった事ないからできない。」の一点張り。
しかし、私たちは知っていました。

この人たちはやればできる。と。

春先に小さな小さな種を育苗箱に蒔き、苗を起こしてみんなの家を回ると恐る恐るながらも「これやってみる」と苗をとってくれました。
ケールやサヴォイキャベツ、カリフローレなど、それはそれは立派なものができました。

やっぱり!

みんなの経験からアドバイスを受けることもたくさん。
でも、袋詰めがうまくできない人とは何度も一緒に作業したり、収穫タイミングがよくわからない野菜は地元レストランのシェフに畑まで来てもらって勉強会をやったりして、スキルを高めてきました。
こうして各地のレストランとつながる事ができました。

このふたつの理由は結局ひとつになります。
まずは取引させていただいているレストランがもっと盛り上がる事。
それによってゆめクジラの野菜の需要が高まり、生産者は今以上に張り合いを持って頑張れる。
新規就農者が持続可能な農業を行うのは、現実にはとても困難。
歳を重ねても身の丈にあった営農モデルが構築されていれば、次世代への道しるべができる。

そうやって改めて気づいたことがひとつ。
生産者は実際に使ってもらえるレストランシェフと繋がり、ダイレクトに感想を聞かせてもらえる事が最高の喜びだったこと。
「大きすぎる」「色付きが悪い」も「良いものができてる」「使いやすかった」も。

私たちの農業はまだ始まったばかり。
これからも、もがきながらスキルを高めていきたいと思います。

集合写真

12名の生産者と3人の地元シェフ

グッドアグリアワード
グッドアグリアワード2018